赤嶋情報

アニメの感想、レビュー。ゲームのレビュー、攻略。たまに、経済や旅行ネタ。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop
概要
金融機関や年金基金がとっている各資産への投資比率を維持する戦略が適切であるかを考えました。レンジ相場では適切である一方、上昇トレンド相場では買い持ち戦略に劣ることをデータを使って示しました。


背景

最近、株価は一本調子に上昇を続けていますが、金融機関は一貫して売り越しを続けています。信託銀行や生命保険会社などの機関投資家は株式、債券などの各資産への投資比率を一定にする投資戦略をとっていることが多いので、株価が上昇すると売却しなければならないからです。
例えば、最初に株式と現金を100億円ずつ持っていたとして、株式と現金の比率を1対1にコントロールする戦略をとっていたとします。このとき株価が上昇し120億円になると、株式と現金の比率を1対1にするためには株式を10億円売る必要があります。
金融機関がこのところ一貫して売り越しているのは株価が一本調子で上昇しているからなのです。


金融機関の売買動向


考察:アセットアロケーション(各資産への配分比率)を一定に維持する戦略は儲かるのか?


結論から言うと、レンジ相場では儲かりますが、上昇トレンド相場ではバイアンドホールド戦略(株式を一回買った後は放置)に劣ります。下降トレンド相場ではバイアンドホールド戦略の方がパフォーマンスはましです。

各戦略の説明
株式と現金の比率を1対1にするアセットアロケーションを考えます。
バイアンドホールド戦略では最初に決めたアセットアロケーション配分にした後、放置します。
一方でアセットアロケーションを一定に維持する戦略は毎期間ごとに株式の売買を行います。具体的には株価が上昇した場合は、株式の売却を行い現金のウェイトを増やします。株価が下落した場合は、株式の購入を行い現金のウェイトを減らします。この戦略を凹戦略と言います(以下ではアセットアロケーションを維持する戦略のことを凹戦略と呼ぶことにします。)。

実験方法
人工的にレンジ相場、トレンド相場の株価を発生させ、60期間後の各戦略のパフォーマンスがどのようになるかを測定します。投資開始時点の総資産額は100億円とします。
レンジ相場のデータは累積パフォーマンスが0近辺で推移するように収益率を発生させました。
以下のグラフは今回の実験で用いたデータから作ったグラフの一つです。


レンジ相場の一例
投資開始時点の株価を100として、100近辺で株価が推移するように収益率を発生させました。100から離れると100に戻そうとする力が働きます。


上昇トレンド相場の一例
上昇相場の場合は、毎期2%成長した場合の株価の近辺にデータを発生させています。青の線が実験で使用した株価です。「こんなに上がるはずがない」と思う方も多いと思いますが、これは各戦略のパフォーマンスに大きな差がつくようにデータを発生させたから極端なグラフになっているのです。
下降相場も同じような方法でデータを発生させました。


実験結果

以下は、レンジ相場の場合の実験結果です。横軸が株式の累積収益率、縦軸が60期間後の総資産額です(100億円スタート)。
一見して分かるように、凹戦略のパフォーマンスがバイアンドホールド戦略のパフォーマンスを上回っています。
どうしてこのようになるのでしょうか?この現象は以下のように考えることができます。
レンジ相場において、株価が上昇した場合、次の期間の株価は下落しやすくなります。(今回の場合は、株価が100を上回ると、株価が下落する確率が50%を上回ります。)次の期間、株価が下落しやすいなら儲けた株式を現金化したほうが、期待収益率が高くなります。つまり、凹戦略の方が有利となります。
逆に株価が下落すると、次の期間の株価は上昇しやすくなります。株価が上昇しやすいなら、株式を増やすことで期待収益率を高めることができます。
以上のことから、レンジ相場においては凹戦略の方が有利です。


レンジ相場


上昇トレンドの場合は、バイアンドホールド戦略のほうが有利です。株価が上昇する確率が一貫して高いならば、株価が上昇するたびに株式を売却する凹戦略は良い戦略とは言えません。

上昇トレンド相場

下降相場の場合は、バイアンドホールド戦略の方がましです。株価が下落する確率が一貫して高いならば、株価が下落するたびに株式の割合を増やす凹戦略はうまくないからです。

下降トレンド相場



おわりに


金融機関や年金基金がとっているアロケーションを一定に維持する戦略はレンジ相場には有効ですが、上昇トレンドの場合には収益を獲得できないというデメリットがあることが確認できました。金融機関や年金基金はアセットアロケーションの意思決定に時間がかかるので、決定している頃には手遅れの可能性が高いと思います。
この事態を避ける手段の一つに、アセットアロケーションにおいて自由に資産配分できる枠を設けることがあげられます。例えば、株式30、現金50、自由枠20といった具合にしておいて、自由枠を経済環境において機動的に変えていく方法が考えられます。
ただ、最大の問題は責任を誰がとるのか、見返りがないなどの組織に関することでしょう。ハイリターンを得てもボーナス等にあまり反映されないので、投資は事務的になりがちです。

個人投資家ならば、自己資金であるので気にすることなく自由に投資を行えます。ただ、思い込みや気持ちのコントロールが難しいなどの問題も多くあるので、アセットアロケーション維持のような戦略を取り入れたほうが気が楽になると思います。


関連記事

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。